ノーミソ刺激ノート

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大学で哲学を勉強するということ

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大学4年間の哲学が10時間でざっと学べる

「哲学」は労働ではない

大学は近頃、職業訓練施設になってるって批判されています。

が、哲学を勉強するってなったら職業訓練とは言われませんよね。

なぜなら哲学自体は職業の技術に関係ないから。

 

ユダヤ人の哲学者ハンナ・アーレントは、『人間の条件』で「仕事」を三つに分けました。

 

  • 労働(labor)
  • 仕事(work)
  • 活動(action)

 

以下引用文(太字、「・」はKECによる)

※読み飛ばしてOKです。

  • 労働laborとは、人間の肉体の生物学的過程に対応する活動力である。人間の肉体が自然に成長し、新陳代謝を行ない、そして最後には朽ちてしまうこの過程は、労働によって生命過程の中で生みだされ消費される生活の必要物に拘束されている。そこで、労働の人間的条件は生命それ自体である。
  • 仕事workとは、人間存在の非自然性に対応する活動力である。人間存在は、種の永遠に続く生命循環に盲目的に付き従うところにはないし、人間が死すべき存在だという事実は、種の生命循環が、永遠だということによって慰められるものでもない。仕事は、すべての自然環境と際立って異なる物の「人工的」世界を作り出す。その物の世界の境界線の内部で、それぞれ個々の生命は安住の地を見いだすのであるが、他方、この世界そのものはそれら個々の生命を超えて永続するようにできている。そこで、仕事の人間的条件は世界性である。
  • 活動actionとは、物あるいは事柄の介入なしに直接人と人との間で行なわれる唯一の活動力であり、多数性という人間の条件、すなわち、地球上に生き世界に住むのが一人の人間manではなく、多数の人間menであるという事実に対応している。たしかに人間の条件のすべての側面が多少とも政治に係わってはいる。しかしこの多数性こそ、全政治生活の条件であり、その必要条件であるばかりか、最大の条件である。

 

 つまり、

  • 「労働」は生命維持に関係すること。(例:生産、販売)
  • 「仕事」は自然に対して人工物人間による世界を作ること。(例:芸術)
  • 「活動」は人に対する作用。人間の多数性に関係。(例:政治)

ということ。

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

 

ほとんどの人は「労働」をして生きるでしょう。

大学のほとんどは労働者の生産をしていることになります。

 

しかし本来、大学は高等教育をするために作られたものですから「仕事」あるいは「活動」をするのが本当だと思っている人もいるでしょう。

本来はそうでしたけど時代の要請によって政治はかわるから、同じように教育も変わるんです。

 

哲学この中では「活動」に近いでしょう。

しかし残念ながら大学四年程度では自分の世界を作ることはできません。

逆にいえば哲学を本気で勉強しているような奴は就職に不向きだという事。

 

ただ就職している人も多くいますし、その就職先は大概教職に就く、就こうとすることが多いですね。

じゃあ何のために哲学を学ぶのかって、ソクラテス的に言ったら「よりよく生きる」ってことです。

 

つまり仕事だけではない、より抽象的な「生き方」の見地に立って物事を考えるってことですね。

それ自体は実用的なお金になる実学ではなく「虚学」と呼ばれるものです。

 

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実学と虚学って何の違いがあるかって実学は具体的な学問(お金、生活を優先する)であって虚学は抽象的な学問です。

 

となると仕事、お金のために勉強するような経済学のような学問とは違って人生に於ける目標を持ちながら生きるという事ですから結構なことだと思います。

となると、卒業したところでどこに就職するかとなったら勉強したことを活かすことは難しいわけですよ。

 

でもそんなことは入学する前からわかることですからそれぞれに何か目的があるわけでしょう。

私の場合は就職したくなかったですから大学院へ進みました。

 

そもそも哲学を4年勉強したくらいのことで哲学が何なのかなんて全然わかりません

4年と言っても実質ちゃんと勉強できるのは2年くらいですから大したこともできません。

 

ですから本気で勉強したいなら院まで行く覚悟で入学したほうがいいと思います。

何となく入学するという事がありうる経済学部と違って哲学関係の学部は何となくで入ることはほとんどないんじゃないでしょうか。

 

たしかに推薦で入ることはあると思います。

けど、たまたま入ってしまった場合は特に目標があって入ったわけではないんですから適当に就活して就職すればいいだけの話だと思います。

 

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でも哲学を勉強したくて入学したんなら知的好奇心があって入ったという事でしょう。

となると学部だけでははっきり言って足りる学問ではないので繰り返しますが院に入らないと意味がないとさえ思います。

知能労働は院まで行こう

これからの時代、大学進学したくらいじゃ知的な人間とはいえないです。

木石みたいな人間がごろごろいますから。ですから肉体労働をしたくないなら普通の人よりも卓越的な知能を持たないと意味ないんですよ。

 

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大学不要論も一理ありますが、それは分野に拠ります。

私は文系ですから他の分野のことは知りません。

 

でも院まで行ってよかったことは人生をかけてそればかり勉強している長老にたくさん直接話を聞いたことですね。

ネットで調べるよりもはるかに効率よく勉強ができます。

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文系の場合

大学で哲学を勉強するって、大体においてリスキーとされてるんですけど、今の時代良いと思うんですよ。

なぜって「自分で考える力が身につく」からです。

 

今の時代技術職に就職してもすぐにAIに仕事を取られます。

多分10年もしないんじゃないでしょうか。

 

そう成ればBIも整備されると思うのですぐに働かなくてもよくなるでしょう。すぐに働かなくてもいいのであれば自分の中に一生残る資産を残る必要があります。

そこで一番有用だと思うのが哲学ですよ。

 

ただし大学院まで行くことです。

なぜなら大学でできる勉強というのは精々入り口も入り口、遊園地のゲートをくぐった所で終わりです。

 

ディズニーランドでいえばワールドバザールにも入っていません。

大学でなんで哲学史を学ぶかといえば「今までの哲学的な言語」を学ぶためです。小学校でいう漢字を学ぶみたいなもので「共通言語」を学ぶためです。

 

本番はその言語を使ってどういう言葉を編み出すかですよね。

まだそこに行けないんですよ。4年じゃ。

 

理系の場合は実験がありますから、「実験の結果こうなりました」っていう論文があれば昇格できますけど、文系は実験が無いのでヒタスラ本を読むしかありません。

ですから時間がかかります。

 

大学4年間の哲学が10時間でざっと学べる

大学4年間の哲学が10時間でざっと学べる

 

 冒頭にこの本の写真を載せましたけど、これはいい本です。

ただ、10時間で「どういうことを勉強するのか」ということは一通り知れますが、哲学の最大も問題はそれを自分で考えることです。

 

この問題に関してどう思うかが哲学の課題ですから、4年の内に本をたくさん読んで、それに関して考えるのは「一生」ということになるでしょう。

 

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本をたくさん読む方法

 

本を何回も読むのはなぜか。

理系の場合

理系も知能労働で生きるんなら院までが当然いいです。

理系の学問の場合、飛行機の原理は理論的にわかってないとか、摩擦の原理も本当のところ分かってないっていうじゃないですか。

 

これを論理的に説明しろっていうのはめちゃめちゃ難しいですけど、実験の結果が出れば実践できるわけですね。そうすれば社会的に功績として認められます。

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哲学を学ぶとはどういうことか

哲学を学ぶというのは特定の哲学者の哲学を学ぶ、研究する方法と、独自の哲学を捜索する方法があります。

 

  • 哲学者研究
  • 哲学研究

 

日本の哲学者は前者ばかりだという批判がありますが、それはあくまで素人のいう批判なんですね。

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哲学の理解の仕方 

 

哲学というのは「自分自身で考える」ことを主としているんだから、日本の哲学(研究)者のように西洋の哲学を研究しているだけじゃダメなんだ、というのはわかります。

 

じゃあロクすっぽ他者の哲学研究もせずに、自分だけの知見で哲学を確立しようにも無理な話なんですね。

 

  • 過去の学問を勉強するのは「言葉」を得るため。
  • 「言葉」は「秩序」である。
  • 「秩序」は集団になると「社会」になる。

 

人間は社会的動物であるということはこういうことだと思うんです。

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聖書でギリシャ語の「ロゴス」と言われているものは「言葉」と訳されていますけど、はじめの日本語訳は「カシコイモノ」と訳されていました。

 

これは間違いではなくて、そういう「解釈」だったんですね。でもそれじゃ分かりにくいから「言葉」ということにした。中国語訳でも「言」とされています。

(「言」が「ことば」と同義かも細かくいえば議論の対象になりますが)

 

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中国語訳(1823年)「神天聖書」。

初めの「聖若翰」は「聖ヨハン」。

現代中国語では「聖約翰」。

 

現代中国語では「若」はruo,「約」はyaoと発音します。

これはとりあえずの話であって、「秩序」でも「賢いもの」でもいいんです。言葉を覚えるというのはそういうことです。

 

大体の意味しかわかりません。

絶対的な翻訳というものはないんですから。

そのことばの運用が「哲学」です。

 

大体のつまらない翻訳はAIにできますから大半の日本人にとって英語はそこまで必須であることはないですが、こういう本来的な言語て知哲学をつかわなけらばならない場合は大学院レベルの素養が必要です。

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例えば今はほとんどの人が大学を卒業して会社に就職することが「とりあえずいいことだ」と思ってるんですね。これは社会的な集団的な意識であって、実体ではないんです。つまり虚構。

 

虚構、実体でないからと言って、詐欺をしてるとかではなくて、『サピエンス全史をどう読むか』(『全史』には書いていない)に書いてあった通り、虚構というのは互いに合意している事柄なんです。

 

つまり国家、貨幣、宗教は虚構ではありますが、集団が合意しているから機能してるんです。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

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つまり数学で言えば「点」や「直線」のようなものです。それがあるとそのほかのことがうまく考えられるから補助的に概念を追加しているんですね。

 

大学での哲学というのは一般的に西洋哲学で、日本や中国などの哲学、思想を勉強する場合はそれぞれの大学のホームページでそういう先生がいるかどうか確認しなくちゃいけません。

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大学での哲学の内容 

 

でも一般的に受験で忙しい高校生はそういうものの調べ方について大して教えられてませんよね。大体偏差値で行ける大学は~っていう風に物流事業のように振り分けられるわけです。

 

学校側もそういう方が仕事が楽ですからね。

つまらない雑務も多いせいで生徒を見ることも適切な指導をすることもできません。

 

そもそも先生自体もそういう風に教育されたので「そういうものだ」と思っているんです。

でも世の中ってもっと多様性があるんですよ。

 

そういうことも知らずに先生にしてしまう。

 難儀な話ですが、世の中進歩しているように見えて実社会はこれだけ整備されていないことだらけなんです。

 

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